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DT660 Edition2007 (beyerdynamic) [beyerdynamic]

     

ドイツのbeyerdynamic社の、DT860、660、440シリーズの新型ラインとして、

Edition2007シリーズが登場した。


6月のはじめに、密閉型のDT660 Edition2007を購入。


密閉型であるのに、とてもタイトでクリアな音。

その音は現代的であり、ある意味では、人工的とさえ感じるような音だ。

まるで音像を切り抜いたような音楽表現には、独特の雰囲気を感じる。


喩えるなら、切り絵のような潔さ、といった感じかな。


音にふくよかさを求める人は、とりあえず避けた方が無難なモデルかもしれない。

そう書けば、それと正反対の音の好みの人は、ピンと来てくれるかも?(笑)






ーーー 続きを読む ーーー

ベイヤーの旧型ラインのDT931,831あたりや、
これまでのDT860、660、440とは聴き比べていないので、
今回単独でDT660 Edition2007を聴いた感想で言うなら、

とても現代的で人工的なイメージの音だと感じた。

密閉型のハウジングの壁は感じるものの、
響きや籠りといった感じはとても少なく、かなりデッドな鳴り方に感じる。

音源に響きやエフェクト成分があれば素直に表現するが、
それ以上は何も乗せない、といった感じの鳴り方と言うのだろうか。

その分クリアでタイトな音であり、
音の好みは別にして、密閉型としても、大変個性を感じる音である。


個人的には、「モニター的なストレートな音」というのともまたちょっと違い、

「線や点で独自のメリハリ感を持って表現された音」といった感じがするのだ。





デザイン的にはシンプルで、ハウジングはベイヤーに多いまん丸型である。

モロにプラスチック素材にメタリックの塗装は、かなり安っぽく感じるが、
クラブ系やDTM系のシーンなどには、案外ピタっとハマるのかもしれない。

ブラックのイヤパッドの素材は、DT990などのベロア系の素材と比べると、
やや質感は落ちる感じで、イヤパッドの中綿もやや硬めかな、といったところ。
しなやかでしっとりとしたDT990より、ホンの気持ちサラっとした触感の布地は、
好みがわかれるところだろうが、一般的には、肌触りや装着感は快適な部類だと思う。

ビニール系素材や合皮系素材のイヤパッドと比べると、
遮音性はやや低く、音漏れは気持ち多めといったところか。

ヘッドバンドは、最近のULTRASONE機と共通のプラスチック製。
ゾネ機で型番が書かれる頭頂部には、beyerdynamic社のロゴが、
DJX-1と比べると、比較的上品にあしらわれている。

尚、細かいところで、ヘッドパッドの素材はイヤパッドとは違い、合皮系素材。

このあたりは、ゾネのようにイヤパッドと揃えた素材というのもアリだと思うが、
確かにベイヤーは、DT990等のヘッドパッドもイヤパッドとは別素材の合皮系であり、
ある意味では、ヘッドパッドとイヤパッドは全くの別物扱いで、
いわば適材適所といった考え方なのかもしれない。
その分、デザイン上の統一感は出ないが、費用や手間、実用面を考えると合理的だろう。

ケーブルはベイヤー機に多い、クセのつきやすいタイプで、
たとえばポータブル用途等で、ヘタに一旦まとめると、
後々クセが取れなくてやっかいなことになりそうなので、その辺は要注意かも。

ちなみにiPodでも音量はある程度取れるのだが、
インピーダンス32オームに対して感度97dBということで、
思ったよりは、「全く問題無し」という感じでも無いかも。

ただ、良く言われる「鳴らしきる」などの話うんぬん以前に、
個人的には、もっと単純な話として、
ぶっちゃけ、iPodとの音の相性はあまり良くないかも?と感じた。

解像感は高いが、ちょっと肉付きが少な過ぎる音にも聴こえる。

ただし、これはあくまで好みの問題もあるので、
そういった、かなりソリッドな音が好きな人にはオススメな密閉型である。


ULTRASONEと共通のヘッドバンド。モデル名ではなく、メーカーロゴを表示。


こちらは、まさにDJ仕様といった感じの幅広ヘッドバンドにデカロゴ表示のDJX-1


以下、室内環境での感想。

ベイヤーダイナミックDT660 Edition2007は、
音色自体には、確かにベイヤー機を感じさせるものがあるが、

低域の響きがとてもタイトで、高域の強さも充分あるので、
同じベイヤーのDT990、880、770シリーズと比べると、
個人的には、やや高域寄りの腰高なバランスに聴こえる。

低域は、必要量ちゃんと出ているし、アタック感も充分あり、
ベースラインも比較的取り易い。
重低音まで音はきちんと出ているものの、響き自体はタイトであり、

豊かな響きや余韻、さらには広がりや雰囲気感といったものには乏しい。

これは低域のみならず、全帯域に言える事なのかもしれないと思う。

密閉型と開放型の違いもあるが、
高域はDT990ほど、超高域まで綺麗に伸びきっているという感じでは無く、
通常楽器の必要範囲内の高域あたりがやや強めかなといった感じで、
超高域方向にも出てなくはないと思うのだが、その辺はかなりタイトだと思う。
そのあたりで、人によってはしなやかさが足りなく硬い高域と感じるかもしれない。

リスニング的なイメージで言うと、むしろ中域の豊かさや柔らかさ、
広がり感といったものが足りないと感じる人も多いかもしれない。

音像がとてもシェイプアップされていて、音場に広がって行く感じが少ない。

音の厚みや余韻でゆったりした雰囲気を出すという方向ではなく、
微細なニュアンスを繊細に描き出すといった感じでもない。
さらには、実体感を感じるエネルギッシュな音といった方向性の音でも無い。

音の肉付き感が少ない、喩えて言うなら、体脂肪の少ない音といった印象を受け、
どちらかと言うと、線や点で音楽を表現するといった感じの音だと思う。

あくまで擬似的な、ひとつの表現方法ではあると思うが、
定位が見やすく、それぞれの音があたかもピンポイント的に聴こえる感じは、
なかなかクセになりそうな聴こえ方だと感じた。





「このヘッドホンの音に良く合うジャンル」と言うと、
個人的にはあまりピンと来ないが、
どちらかと言えば、「どう聴ききたいか」で選んで聴くと、
他のヘッドホンにはなかなか無い、独自の魅力があると思う。

生楽器をできるだけシャープに聴きたい時や、
シンセやサンプリングの音そのものを楽しみたい時など、
個人的には、気分や用途でポイント使いに重宝しそうなモデルだと思う。

もちろん、そういったタイトでシャープな音が好みの人なら、
この、beyerdynamic DT660 Edition2007というモデルは、
特に密閉型としては、数少ない貴重な選択肢になるだろう。

反対に、音のグラデーション感やぼかしや混ざり具合といった要素には乏しいので、
音楽の持つ微妙な表情や雰囲気を、ゆったりと味わいたい時などには、
とりあえず選手交代!という感じかな?(笑)


尚、機器の環境によって、聴いた印象は結構変わるタイプだと思う。

我が家では、プリアンプのヘッドホン端子だと、
高域が多少減衰し、低域が若干強調され、
音全体的に気持ち膨らむといった音作りがされているので、
かなりタイトなDT660 Edition2007の音も、
割合、普通っぽいまとまりの良い音という感じだったりもする。

よくベイヤー機と相性が良いと言われる真空管アンプなどで聴いても、
また違った味わいがあって、それはそれで良さそうだとは思うのだが、

むしろ、そういった組み合わせで聴きやすく使うという方向性よりは、

このモデルの持っている個性を積極的に活かした方が、

DT660 Edition2007を存分に楽しむ方法としては、正攻法なのかもしれない。 









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コメント 14

HIRO

お久しぶりです。
人工的な音がしますかφ(・・  音って結構見た目と似通ってくるものですねw 普段から禅を使ってる自分にはあまり合わないような気もしますが、一度聴いてみたいモデルではありますね。
あと、今回の写真もお見事でした(^^
by HIRO (2007-07-25 13:13) 

まめぞう

こんにちは!^^
「Edition」と聞くとドキッとするのは何故なんでしょうね?^^;;;
前から伺おうと思っていたのですが、いつも絶妙な角度で撮れてますよね~!^^ 何か固定でもして撮影してらっしゃるんですか?(^○^)
by まめぞう (2007-07-25 13:42) 

tamegorou

>HIROさん、お久しぶりです。

あくまで個人的な感想ではありますが、
やさしく自然な聴こえ方、という感じではなく、
もうちょっと独自のメリハリ感を感じますね。

確かにそういう意味では禅とも方向性が違う音だと思います

DT990あたりと比べても、確かに音色的にはベイヤーっぽいですが、
音のバランスや低域の広がり感等が違い、かなりタイトです。

でも、これはこれでなかなか面白いですよ。
機会があれば、ぜひ試聴してみてください。
by tamegorou (2007-07-25 15:49) 

tamegorou

>エルモさん、こんにちは!

「Edition」と製品名につくのは、これで3台目かな?(笑)
いわゆる、「限定」もしくは「世代」を強調した言い方ですよね。


写真については、その時の気分で手で持って撮影したり、
ハンカチや小物で支えて撮影したりもしますね。

ただ、最もよくやる方法としては、(今回もそうなのですが、)
自立するギリギリの角度で置いてみたりして、
その製品の持っている、重さのバランスを楽しみながら、
カメラも手持ちで、三脚などで固定せず、
カッコイイなと思えるアングルまで自分が廻り込みながら撮る、
といったことが多いです。

計算というより、完全に遊びながら気分次第で、という感じです。(笑)
by tamegorou (2007-07-25 16:01) 

moonrabbit

おひさ!ヾ(≧▽≦)ノ
ちゃんと着々と米屋コレクションをしているのですね。φ(.. )メモメモ

音の方はピン!d(◎∀◎)b と来る感じがありますが、
やっぱり聴いてみないことには分かりませんです、はい。(^^

曲にはまるとかなり良さそうですね。
無骨な感じのスタイルも嫌いではありません。
周りのシルバーがぷらっちっき~なところは気になりますが(w
by moonrabbit (2007-07-25 16:42) 

Chris

Beyerの新しいヘッドフォンを買っていたのですね(・∀・)
音はBeyerっぽさが残ってますか、なるほどなるほど
今度試聴してみます。
個人的に言えば、昔のデザインの方が私には好みなんですけどねぇ。
by Chris (2007-07-25 18:22) 

tamegorou

>らびさん、ホントおひさです!

ただの痩せてる音っていうのとは違い、性能の高さと魅力を感じます。
Fレンジもかなり広いと思いますし。

そう、あくまで聴き方だとは思うのですが、
確かに、「ハマった!」と感じた時は、かなり快感ですね。

シルバーの部分はいかにも・・・ですね・・・
by tamegorou (2007-07-25 19:07) 

tamegorou

>Chrisさん

音はやっぱりどこかベイヤーっぽいです。

デザイン的には以前のモデルもいいですよね。

ただ、色は以前のモデルよりシルバーの部分が減った分、
個人的にはだいぶ抵抗感が減ったかな・・・
by tamegorou (2007-07-25 19:15) 

たぬき

やっぱりためごろうさんのレビューはスゴイですねー。
「あぁ、そうなんだよっ!」というツボをピンポイント攻撃であります!

あたしもこの機種結構好きですが、好みはハッキリと分かれそうかなぁ、と。

>>このモデルの持っている個性を積極的に活かした方が

これ、僭越ながら全く同感です。
せっかく、抜きんでた特徴があるのでソレを活かす方が好き♪
個人的にはDAC1かm902が好みです。
by たぬき (2007-07-26 03:37) 

tamegorou

>たぬきさん

いえいえ、DT860,660,440 Edition2007コンプリートのたぬきさんに先日お会いしてお話しした時、いろいろなヒントをいただきました。

確かに好みはハッキリ分かれるでしょうね・・・
イラナイ人は、ホント、イラナイかも???(笑)

でも、好みの人には代わりがなかなか無いモデルでしょうね。
性能的にも充分高いものがありますし、
DT990PROあたりが買えてしまうと思うと、多少割高感はありますが、
これオンリーワンといった魅力に溢れています。
変わったところでは、ちょっと前のシカゴ響なんか結構スゴイことになりますね。w

基本的には2台目以降のポイント使い用に、
まれに、解像厨かつドンシャリ厨を極めてる人に!(笑)

>DAC1かm902

そういった使い方、楽しそうです。
たぬきさんの場合、CDPがバケモノですので別次元の話でしょうが。
by tamegorou (2007-07-26 07:48) 

OQ

お久しぶりです。
Beyerというと、DT250とDT831しか持ってないのですが、インプレ読んだ
限りでは、どちらかと言うと831に近いのかな?って勝手に思ってますw
アンプ(Headmaster)との相性もあったんでしょうが、とにかく低域がタイト
過ぎました、私の環境では。なんでBeyerって手が出しにくいというイメージ
が出来上がってしまってます...

この話とは関係ないのですが、先日iPod用にER-4Sを買い直しました。
やっぱりep720との間には一線引ける差を感じました。

それでは。
by OQ (2007-07-26 22:27) 

tamegorou

>OQさん、お久しぶりです。

以前試聴した感じでは、
音のバランスは、確かにDT831にも近いかなと思います。
ただ、おそらくドライバー等は別モノで、
低域の響きはタイトですが、アタック感など、結構ズンとくるものもあるので、低域自体の不足感は少ないかなと思いました。
また、豊かさや響きが足りない、という話になると、
むしろこのモデルの全帯域に言えることかもしれませんし。

確かにベイヤーはクセの強い部類の音が多いと思います。
特に高域の鳴り方が、好みのわかれるところなのでしょうか。

個人的には、DT831、931の世代の後の?低域が増強されたDT990あたりの持つ音の雰囲気が好きですね。
ちょっと古めのスピーカー低音のような雰囲気を持っているような気がします。


ER-4S、結局買い直されましたか。
ep720のややラフな鳴り方も、好みが合えばむしろ聴きやすくてポータブルオーディオ向きなのだと思いますが、ER-4Sのピントがスッキリと合った感じの音も、やはり未だ魅力がありますね。
by tamegorou (2007-07-26 23:07) 

ハル

>それ以上は何も乗せない
>低域の響きがとてもタイトで、高域の強さも充分あるので、
硬い音が好きなので、ツボにはまりそうな気がします・・・(^^;。
外出用にほしいかも。かも。
by ハル (2007-07-27 05:38) 

tamegorou

>ハルさん

やはりピンと来てくれました?(笑)

低域の響きはタイトですが、
アタック感や量自体は充分あると思いますね。
重低音の量感や沈み込みはあと一歩ですが、
スピード感のある低域という感じです。

確かにハルさんなら、音の最終調整も含めて、
クセのつきやすいケーブルは短めの別ものにリケーブルすれば、
ポータブル用に使いこなせそうですね。

ハルさんのお好みから言えば、DT770より合うかもです。

ベイヤーとしては、ゾネでいうとさしずめDJ1PROあたりの立ち位置に近いのかもしれません。

ハルさんにとっては、使い慣れたゾネヘッドバンドですしね。
(^^
by tamegorou (2007-07-27 11:58) 

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