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SONY MDR-R10 [購入しなかったヘッドホン]

ULTRASONE edition7 を購入した後、ひょんなことから試聴する機会を得たが、
先にこちらを聴いていたら、こっちを買っていたかもしれない・・・・

軽いドンシャリ・・・などど、言ってはいけない!
この解像感、このクリアさ、この広さ・・・

銘機 MDR-CD3000 (以降 CD3000) さえ霞んでしまう、圧倒的な性能の高さ!

私が、今まで聴いたヘッドホンの中で、最も良い音 だと感じた音

SONY MDR-R10 ヘッドホン ステレオ (木目)

SONY MDR-R10 ヘッドホン ステレオ (木目)

  • 出版社/メーカー: ソニー
  • 発売日: 1989/02/21
  • メディア: エレクトロニクス


注意 現在は生産完了していますので写真だけご参考にしてください


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もう既に生産完了されていて、おそらく聴く機会はないだろうと諦めていたが、
銀座ソニービルの QUALIA東京 に Q010-MDR1 (以降 010) と CD3000 と、
3つ並べて置いてあったのだ

目的は 010 のはずだった

でも、ひとたび R10 を聴いた時、

これが16年も前からこの世に存在していたとは・・・

ああ、日本も、Sonyも、実は凄かったんだな・・・と、

何かうれしいような、切ないような気持ちになった

この音を知っている人が、世界中で、いったいどれほどいるのだろう・・・
惜しい・・・、実に惜しい!

ダイナミック型の、一つの頂点だったことを感じさせてくれるのに充分な音だ

密閉型としてはかなり広大な音場

ダイナミックレンジもFレンジも、現代の基準で言っても文句無く広いが、
今となっては 010 がその上を行くだろう

解像感も 010 の方が鮮烈に感じられるかもしれない

ただ、私には、音のバランスは R10 の方があらゆる音楽のジャンルにマッチすると思えた

特定のジャンルに抜きん出る事を諦めてでも、あえて取ったのであろうバランス

後継機種 010 は、先駆者とは、むしろ正反対の方向のバランスのように感じた
密閉型と開放型の違いもあるので、一概には比較できないが、
高音質録音の持つ広大なダイナミックレンジやFレンジをうまく吸収できるようなバランス
AKG K501 をさらに進化させたような音にも思えるし、
SACDを見据えた戦略的な音調整とも思える
中途半端な録音物だと音が痩せて聴こえてしまうかもしれない

これが時代の一歩先を行く音なのかもしれない・・・

そうであったとしても、私は R10 の音の方が好きだし、良い音だと思った 

ただ、それだけだ

引退は惜しいと思う程の性能の高さと調整の完璧さを、今も感じる

豊かな量感の低域だが、ほどほどの締まり感もある
広い中域は密度も濃く、あくまでなめらか
高域は少しきつめだが、それは私にとっては必要な強さだと思える

ヘタなドンシャリ機は低域と高域に、中域がマスキングされてしまう事が多い

でも、R10 のように、あるレベルを越えたバランスの場合、

上も下も伸び切っているからこその、疑似ドンシャリ感であって、
パワーバランスがどうしてもそうなるだけなのだと思う
それが証拠に、中域が見事にマスキングされていない

edition7 も、まさに、この類いの機種だ

むしろクセは R10 の方が少なく、こちらの方が王道と言っていいと思える音だった

この音を好きになった人にとっては、生きた音楽のための 黄金のバランス と感じるだろう

CD3000 もこの点だけはしっかり引き継ごうとしたのだろうが、
やはりすべては引き継げなかったようだ
密閉型としては広大な音場は、R10 譲りだし、
価格差を考えたら、どちらもそれぞれ銘機であることに間違いは無いのだが、
さすがに並ばれてしまうと、性能差を感じないわけにはいかなかった

情報量の違いから来る、解像感、実体感が違う

広大な音場の中、音の密度が薄らいでしまうこと無く、

まるでベールを1枚も2枚も剥いだかのようなクリアさで迫って来るような音だ

家に帰っても、どうしてもその音が忘れられず、
念のため R10 が、ひょっとしたらどこかで購入可能であるかどうか、
SONYのサポートに電話してみた

対応は迅速で、とても丁寧だった

その日の夜には担当の方から電話をいただき、今では購入不可能であることを告げられた

私は担当の方に、購入できないのは残念だが、すばらしい音に感動した、と伝えた


R10 の音は、日本の宝だと思う

持っておられる方、うらやましい限りです

この音で、好きな音楽を、好きな時に、好きなだけ聴くことができるとは!

私は持ってもいないのに、ただ、R10 の音を聴くことができただけでも、

日本に生まれて良かったと、つくづく感じてしまった

参考資料 kei工房(kei's page) 
http://homepage3.nifty.com/~kei_nifty/MDR.htm


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コメント 24

moonrabbit

R10はまともに試聴したことが無いです。試着では・・・見られたら恥ずかしい(笑)。
SONY製品は昔の方がバランスのとり方が自分好みだったなぁと記憶しています。今聞いたらどうなのかなという興味はありますね。
by moonrabbit (2005-08-04 07:49) 

Ryo

クルマでもギターでも自転車でも生産中止というのはよくある話ですね。

本来は、そのモデルに替わるべき「改良品」が世に出たため、「引退」するという図式。
「改良品」なので、引退した機種よりは優れているはずなのに、なぜか生産中止品の方が人気&評価が高くなることがままありますね。

メーカーも高度なマーケティングで新製品を世に送り出しているはずなのに、何故なんだろう?

そこには物理学的に数値化されない「何か」があるような気がするんですよ。
人間の「官能」に訴える「何か」が。

メーカーもいつまでも同じ機種で改良しないっていうのも、商品陳腐化の心配があるので難しいですが、良く食品メーカーが導入している「官能テスト」みたいなものを導入できないかな?
by Ryo (2005-08-04 09:04) 

tamegorou

 moonrabbitさん、コメント&nice!ありがとうございます
今回は特にうれしいなー
実はなんとなくmoonrabbitさんに読んで欲しかった記事でしたー
(なんとなくって、なんじゃぁー)
どんなに技術が進んでも、キッチリと調整しきったトップレベルのモノの、
魅力の寿命は、思ったより長いのだなぁとつくづく感じました
それと同時に、昔のSONYの音の健全さも再確認した感じです
moonrabbitさん、目指せ!世界にはばたく音のマイスター!!(マジで)
by tamegorou (2005-08-04 09:09) 

袋田の住職

今は、ポータブルの再生装置が多いですから、ヘッドホーンって益々大事ですよね!
今度買うときは、ここのブログをしっかり読まなければ・・・
by 袋田の住職 (2005-08-04 09:20) 

tamegorou

 SWEET16さん、勉強になります
いつもコメント&nice!、ありがとうございます!

車やギターと比べたら、単価の低いヘッドホンの世界では、
R10のような、メーカーの威信を賭けたようなモデルはとても少ないです
その意味では、単なるオーディオアクセサリーとしてのヘッドホンとは、
もはや違うレベルの域に達している音質であると感じました

楽器に例えるのはおこがましいかもしれませんが、
これは、音楽のプロ、アマチュアを問わず、ジャンルも問わない、
音楽のための捧げものであると思いました
それがゼンハイザーでもアーカーゲーでも無く、
日本のSONYの製品だという事に、私は感動しました

こういった製品と出会うと、例え購入に至らなくても、
ホントに聴くことができただけで、幸せだなぁーと思ってしまいます
by tamegorou (2005-08-04 09:29) 

tamegorou

 袋田の住職様、コメント&nice!、ありがとうございます
本来ヘッドホンは比較的安価で気軽に音を楽しめるモノであると思いますが、中には、豪華なオーディオ・セットにも負けない魅力を持ったモノもあると思います
こんな小さな製品にも、深くて大きな世界が広がっていることを知った時、
思わず私は、この小宇宙にハマってしまいました(笑)
by tamegorou (2005-08-04 09:44) 

ahtoh

うわ~、うらやましいです。
あのR10を聴くことができただけでも。
もしかして、ものづくりとは何かと再認識しようとしている現在のSONYの目指す理想の姿は、これのつくられた1989年頃のSONYの姿なのかもしれませんね。
今よりもずっとものづくりというものを理解していたがゆえに完成した製品かもしれません。
010は技術で訴えかけるような製品。
R10は一定の技術の裏付けはありながらも、技術よりも感性に訴えかける製品だったのではないでしょうか。
by ahtoh (2005-08-04 09:54) 

smokineria

おおおおおおおおおおお!
これがヘッドフォンか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
芸術作品ではないか!
こういうの見せられるとマニアの血が騒ぐんだよね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ちょっと質問!
色々なヘッドフォンが視聴できるブースってどこにあるのですか?
by smokineria (2005-08-04 10:11) 

tamegorou

 ahtohさん!さすがは大のSONYファン!!!
SONYを完全に理解してますねー、恐れ入りました!!!

まじめに私の記事よりも、ahtohさんのコメントの方が、
SONYと010とR10を的確に言い表していると思います!!!
私がうまく言えなかったことを、まさに言い尽くしてくれています!!!

私、今、そのことに本当に感動しています
ahtohさん、すてきなコメント&nice!、ありがとうございます
ahtohさんの知性と感性と表現力に脱帽です!
これからもよろしくお願いします
by tamegorou (2005-08-04 10:13) 

tamegorou

 フルアコさん、気合いのコメント&nice!、ありがとうございます!!!
なんか、感動した時ビックリマークを連打したくなる性格は、
わたしもフルアコさんと似てるのかも?と、今、ふと、思いました(笑)
しかし、フルアコさんの、そのパワーと表現力とビックリマークの数の多さに、己の未熟さを痛感しております
わたしなんて、まだまだだなぁー(笑)

私がよく試聴させていただくのは、都内秋葉原のダイナ5555さん、
中野のブロードウェイの中にある、フジヤエービックさんあたりです
R10に関しては、すでに生産完了、販売終了していることもあり、
都内では、クオリア東京で参考品として試聴できるのみではないでしょうか?
by tamegorou (2005-08-04 10:29) 

僕はデジタルになってからは、ゼンハイザー。アナログのときは
スタックスでした。玉子焼き、やりました。よろしかったら、お越しを。
by (2005-08-04 14:36) 

tamegorou

 こうちゃんさん、スタックスとゼンハイザー!!
かなりのこだわりを感じますねー
やはり、よっぽど音楽がお好きなんでしょうねー
コメント&nice!、ありがとうございます

玉子焼き合戦、サイコーです!
あんなきれいな玉子焼き食べたいなー
by tamegorou (2005-08-04 17:57) 

モッズパンツ

16年前というとバブル期でつね。 (・∀・)ノ
気持ちに余裕があったからこそできた一品なのかな。 (´・ω・`)

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2005-08-04 19:29) 

tamegorou

 モッズパンツさん、いつもコメントどうもー
おそらくそうでしょうねー
バブル期のオーディオ製品は、しっかり手間とお金がかけられた物も多かったと思いますね。高価なものに、それ相当の意味があったんだと思います。
そう言えば、フルアコさんの記事では建築業界もそんな感じのようでした。
技術が遥かに進んでも、効率や利益率を優先し過ぎると、
息の長い実力を持った製品が世に出にくくなるんでしょうね・・
nice!、ありがとうございます!
by tamegorou (2005-08-04 19:47) 

昔、TEACの営業マンでした。TASCAMのほうが、なじんでいるかな?
by (2005-08-04 19:56) 

tamegorou

 こうちゃんさん、そうでしたか!
DA-30、今でも使ってまーす!
ベイヤーのDT231もOnline Tascamで買いましたよー
お世話になってまーす!(笑)
by tamegorou (2005-08-04 20:27) 

gatekon

うおお~R10ですか!!!
視聴できただけでも十分に価値のある製品ですよね。
自分は地方民なのでヘッドホンの視聴をしたくてもなかなか機会がないのが悲しいです。こうなったら各都道府県に一店舗ずつダイナ5555を設置してもらうしかないですw

そういえば何処かで、ハードオフにR10が誇らしげに展示されていたっていう情報を見た気がします。人生どんな出会いがあるかわからないので諦めるのはまだ早いかもしれませんよ~。
by gatekon (2005-08-04 21:25) 

tamegorou

 gatekonさん、いらっしゃーい!
ホント、実際に音を聴けただけでもありがたいと思いました
都内の利便性を活かして、うろちょろしてますので、
これは特に全国の方に見ていただきたかった記事です
もちろん、都内の方ならぜひ行って聴いて欲しいですね
010メインで、R10やCD3000はあくまで参考品扱いなので、
いつまで置いてあるかはわかりませんから・・

確かに諦めちゃーいけませんよねー
心のどっかで待ちますかぁー(笑) 
by tamegorou (2005-08-04 21:48) 

とんかつ

いつもすばらしいコメント・情報さすがですね。
それから低姿勢なそれでいて主張するところはいつも
関心します。エディション7を誰よりも聞き込んでこその
R10の感想は心を打たれます。
これからもこんなレアな感想聞かせてください。
ちなみにR10の中古をフジヤで遠い過去に聞いたことがありますが、
そのときはCDプレーヤーで直接聞いたということと、
比較するものが中古のスタックということで今一十分な理解が
できませんでした。P1との相性も関係するのでしょうかね?
by とんかつ (2005-08-04 23:11) 

tamegorou

 とんかつさん、はじめまして。
でもいつも見ていてくださっていたんですね、ありがとうございます!
私が試聴したクオリア東京では、とんかつさんのおっしゃる通り、
P1でした。私はP1のねばりのあるような音が好きなのかもしれません。
ヘッドホンアンプとの相性は無視できないのでしょうね。
スタックスは何度か試聴しただけで、詳しくないのですが、
情報量とパワー感とのバランスが独特なものに感じました。
スタックスとR10の聴き比べはむずかしそうですねー
まるで、異種格闘技戦のようで、ルールというか、比べる基準からしてむずかしそうで、私には自信ありません(笑)。
あと、もしかしたら、スピーカーを中心に聴かれる方の感想は、私とはかなり違ったものになるような気がします。
今後も、ぜひ、お気軽にコメントしてください。
まだまだ、勉強させていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
by tamegorou (2005-08-05 00:02) 

T.

>>私は担当の方に、購入できないのは残念だが、すばらしい音に感動した、と伝えた
さりげなくこんなことを言えるところが、ためごろうさんの最大の魅力だと思います。
by T. (2005-08-05 00:07) 

tamegorou

 T.さん、だってホントに感動したんです(笑)
でも、私がまだブログを始めていなかった頃、
「ブログ見てるなら書き込んであげなー、うれしいもんだよー」
って教えてくれたのはT.さんですよー!
だから私は、感動と支持の意志表示を思い切ってするようになったんです
by tamegorou (2005-08-05 01:00) 

リコ

はじめまして!いきなりのコメントすみません;

私もR-10の魅力に魅せられた一人です!!
(過去ブログなのにほんとすいません)

実は今!ヤフーオークションでR-10を発見し、
ふと(R-10を)ネットで検索して此方にお邪魔
させて頂きました!

何故此のタイミング!っという程のタイミングで
現在金欠目前な為私では無理ですが‥是非、
是が非でも同じR-10ファンの方に見て頂きたく、
コメントさせて頂きました!
(もし既に、出会われていたらすみません;)

っでは!
通りすがりの音楽莫迦でした!
by リコ (2009-12-05 02:07) 

nyar!

R10のよさをたっぷり拝見しました。お見事です。
銀座のソニービルで試聴し、こいつは一生ものだと即発注したことを覚えています。
by nyar! (2013-01-02 14:43) 

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